Bくん

Bくん

 子供の頃に体験した話です。

 当時、小学生だった私は、近所に住む同級生のAくんと少し離れた所に住むBくんとよく一緒に遊んでいました。夏休みのある日、夕暮れまで遊んだ私たちは、夜、一緒に花火をすることになり、一度家に戻り夕食などを済ませてから再びAくんの家に集まることにしました。
 帰宅後、夕食を済ませた私は、買ってあった花火を持ちAくんの家へ向かいました。Aくんの家に着くと、遅れてBくんも来ました。私たちは近所迷惑にならないように、学校のグラウンドで花火をすることにしました。

 グラウンドに着くと、早速持って来た花火をして遊びました。そして花火が終わると、誰かが肝試しをしようと言いました。ジャンケンで負けた人から順に校舎まで行き、裏側を通って戻ってくるというものでした。
 ジャンケンをし、最初にBくんが行くことになりました。Bくんは真っ暗なグラウンドを進み、やがて街灯がある校舎に着いたのが見えました。そのまま端へ向かって歩き、校舎の影に隠れるのが見えました。

 Bくんが校舎の裏に入ってからしばらく待っていましたが、一向に出て来ず、だんだん心配になった私たちは様子を見に行くことにしました。校舎裏の出口(反対)側に行って中を見ましたが、暗くて見えません。名前を呼んでみましたが反応がありませんでした。不安になりBくんを探すことにしました。
 暗い校舎の裏を進み入口側に出ましたが、Bくんの姿はありませんでした。困った私たちは互いにBくんは先に帰ったということにし、解散することにしました。

 翌朝、Aくんから電話がありました。昨夜、Bくんのことが気になったAくんは、Bくんの家に電話を掛けてみたといいます。Aくんが電話すると、Bくんのお父さんが出たそうです。そして、Bくんは先週からお母さんと東北の親戚の家に行っていると教えてくれたそうです。その後、夏休みが終わるまで、一緒に遊ぶことはありませんでした。

 夏休みが終わり、教室で二人に会いましたが、私もAくんも、あの日のことを口にすることはありませんでした。